
アラン・チューリングとジョン・フォン・ノイマン
今、我々が使っているコンピューターというのは、たった一人の超人類が天才的な能力によって生み出したものではない。長い長い年月をかけて、進化したり、進化が止まったり、また進化したりしながら、段々と形になってきたものだ。コンピューターの巨人といえば、マイクロソフトのビルゲイツだとか、アップルのスティーブ・ジョブスだとか名前がすぐ上がる人がいるけれど、
今日、ここで書き記す内容は、彼らのことではない。アラン・チューリングとジョン・フォン・ノイマンのことだ。ビルゲイツやスティーブ・ジョブスが、パーソナルコンピューターというものを工業製品として一般の我々の元に解放した人々だとするならば、アラン・チューリングとジョン・フォン・ノイマンという人物は、デジタルコンピュータ(計算機)の基本理念とロジックを考えた人たちだ。つまり、彼らはコンピュータの父と言うことができる。コンピュータを作った人たちである。
アラン・チューリングと言う人は、ベネディクトカンバーバッジが主演した映画、「イミテーションゲーム」を見た人ならば知っている人が多いかもしれない。イミテーションというのは真似をするという意味であり、これは彼自身の論文の題名である。イミテーション、機械は人間の真似をすることができるか。機械は、人間のように考えることができるか。という議題をまとめた論文だ。人工知能やAIなんて言葉が存在しなかった時代に、アランチューリングは人工知能という概念を夢想していたのである。凄まじい。映画、イミテーションゲームでは、映画の終盤、こんなセリフが出てくる。「正確にいえば、コンピューターも違う風に思考するということだ。我々人間が各々別々のことを考えるのは、脳がそれぞれ違う風に思考し物を考えているからだ。人間の脳にできるならば、銅や鉄でできた脳だって、違う考えをさせることはできるんじゃないか。」
他方でジョン・フォン・ノイマンという人は、アラン・チューリングよりも凄まじい。現在、世界中で使われているコンピューターの動作原理は、彼が設計したものである。アラン・チューリングとともに、現在のコンピュータの基礎を築いた大功績者だ。ジョン・フォン・ノイマンとアラン・チューリングのコンピューターの違いは、どの部分にあったのか。それは、ノイマン型コンピューターはソフトウェアを導入することが出来たと言う点だ。ソフトウェアによりハードウェアを制御できるところが、すごい。アラン・チューリング型のコンピューターは、どちらかといえばハードを操作して制御を加えるものである。