
ペットフードに「絶滅危惧種のサメ」が含まれていることが判明。
シンガポールで販売されているペットフードを調査した研究チームは、「サンプルの約30%にサメのDNAが含まれていた」と報告しています。検出されたDNAの一部は、絶滅の危機に瀕していることが確認されています。
シンガポール国立大学のイアン・フレンチ教授らは、ペットフードから絶滅危惧種のサメのDNAを検出したと報告した。
フレンチ氏らは、シンガポールで販売されているペットフードの成分表示の多くが「魚」「白身魚」「海水魚」など曖昧であることに疑問を持ち、
DNAから種名を特定する「DNAバーコーディング」という手法を用いて、成分表示からは読み取れない「本当の成分」を突き止めたという。
その結果、31%のサンプルに「サメのDNA」が含まれていることが判明したのです。また、これらのサメには、絶滅危惧種に指定されている数種類と、
絶滅危惧種には指定されていないが個体数の減少などの理由で取引が制限されている数種類が含まれていることがわかったという。
論文によると、サンプルに最も多く含まれていたサメは、
- 1位がヨシキリザメ、
- 2位がブラックチップシャーク、
- 3位がネムリブカであったという
ヨシキリザメは、ワシントン条約でもIUCNでも絶滅危惧種として扱われていないが、近年は乱獲により漁業制限が検討されている種である。
ブラックチップシャークは、ワシントン条約の付属書IIで「取引が規制されないと絶滅の恐れがある種」として扱われている。
ネムリブカは、IUCNによって保全状況が危機的状況に分類されている魚種である。
今回の調査結果について、フレンチ氏らは「ペットフード会社がサメ肉を『海水魚』と表記し、成分表示で特定名称を避けることは違法ではないが、
1970年以降サメの個体数が71%減少し、全サメ種の75%が絶滅の恐れがあることから 現在の表記は適切ではないであろう」とコメントし、消費者にさらなる情報提示を呼びかけています。