村上春樹のハナレイ・ベイの映画版を見たので評論してみます
村上春樹の短編でハナレイ・ベイっていう作品があるんだけど、この前、その映画版を見ました。
この記事では、その感想を書きたいと思います、簡単にまとめるだけなので、悪しからず。。。
まず物語のあらすじとしては、早い話が、19歳の男の子のサーファーが、ハワイでサーフィンしてたら、片足をサメに噛まれて失血死してしまう話で、
それを、小説では少年の母親(サチ)の一人称視点で語られていくのだが、息子が死んだビーチに、サチは息子の死後、何年にも渡って、同じ時期に訪れる。
それで、10年くらい経った頃に、そのビーチに息子と同じように日本からサーフィンしに来てた日本人の青年たちとサチは出会うんだけど、
その青年たちが、片足の日本人サーファーを見かけるという話で、
サチはそれを聞いて、ビーチで片足の日本人サーファーを探し回るんだけど、サチは息子の姿が見えない。
それが、オチです。
それで、映画でもほとんど小説の流れと同じように展開されていきます。
ちなみに吉田羊さんが、その19歳の男の子の母親役で出てます。
映画を見た第一印象としては、夏!って感じの木々や海の映像が綺麗で、ハワイに行きたくなった。
それから、吉田羊って本当に和風美人って感じで顔が良いって思いました、特に鼻が高いところと、オデコが丸くて形がいいところと。
まあ、そういうのはいいとして。。。
映画全体としても、普通に面白かったし楽しめたんで、文句は別にないんだけど、いやあるかな。。。
まず、小説だったら一人称でサチの視点で語られていくから、読者はサチに完全感情移入ができるんですけれども、
映画だと第三者として、人々は映画観ると思うんで、息子をもっとちゃんと描かないと、息子がサメに襲われて死ぬところとか、
息子がサメに襲われて死んだ後とか、読者が感情移入できないんじゃないのかなって思った。
だってもう、映画が始まって突然、すぐ息子死んじゃうんで。
そこは小説をそのままやらずに、せめてもう少し息子に感情移入させて欲しかった。
肝心のサメに食われるところも、もう少しバイオレンスな感じに演出して良かったんじゃないのかなって。
もう死んだ設定で始まるのってどうなんだろうって思った、だって映画を見てるんだからさ。
さらに言えば、小説ではサメに襲われて人が死ぬことに対して、ちゃんと説明がされていて、
サメは人の肉は好まないため、落ち着いていれば手足が無くなるだけで生還するケースも多いけど、
息子の場合はパニクって心臓発作みたいなものを起こして溺死してしまったんだろうみたいな説明があって、
それが重要だと思うんだけど、映画版ではその説明がないから、
とにかくサメに襲われて死んだという情報しか視聴者には入ってこない、
薄っぺらい事実になってる感じがしました。
あともう少しダメっぽいところをあげつらってしまいますと、
この物語は、サーファー仲間には息子の姿が見えたのに、サチには見えないっていう、救いようもないところが良いところだと思ってまして、
映画の最後では、なんか最後に死んだ息子とガッツリ再会できるっぽい感じで終わるのが「んーー。。。」って感じ。
しかも、サチが息子と会えたのかどうなのか?っていうところは、俺たち視聴者には見せないというアバウトな演出で、後味はあんまり良くなかった。
片足がないサーファーの影を、一瞬だけサチの後ろに見せる演出は悪くなかったけども、夜にはサーフィンしないだろうから、
彼をさりげなく出すなら、真昼間にさり気なく脇っちょに出すくらいにして、サチはそれに気がつかない感じにすれば良かったのにって思ったぞ。
それから、あの劇中に出てくる男の子たちの、英語が分かってないふりして、
実は分かってた設定みたいなのも意味がよくわかりません、必要あったんですかね。
英語といえば、映画にはたくさんアメリカ人が出てくるんだけども、なんか日本の再現ドラマっぽい微妙な演技する人とか、
カットが変わった瞬間に歩き始めたり、喋り始めたりするシーンとかがあって、不自然な感じは否めなかった。
まあ、別に良いんだけど、、、
なんだか、色々思いのままに書いてたら批判だらけになってしまった。
でも、私はこの作品が大好きでした、映画化してくれてありがとうって心の底から思っています。
私は、このての”実際には死んだはずの人間が存在してるかもしれない”という、
トンデモストーリーっていうのは、相変わらず厨二心をくすぐるので私は大好きですし、
小説では村上春樹節が炸裂してた文章もたまらなかった、村上春樹の小説を読むたびに思うんだけども、
どうして村上春樹って、小説をあんなエッセイみたいに仕上げられるのか本当に不思議で、
かたやラノベかの如く読みやすい文字通りライトな文書なのに、
おそらく日本人で初めて世界的な作家になった彼は、本当にすごい偉業だと思っています。
以上です。